AIが作り出す画像は、アイデアを即座に形にし、業務を加速させてくれる画期的で革新的な表現手段です。
ですが「商用で使って大丈夫?」と疑問を持つのも当然のこと。
便利さの裏には利用規約があり、商用利用に関しては知っておくべきルールがあります。
本記事では、その不安をクリアにしながら、AI画像を安心して業務に取り入れるための知識をまとめました。
AIの力を正しく理解すれば、あなたの業務の幅がぐっと広がることでしょう。
AI画像の「商用利用」の定義
先ずは、「商用利用」とは何かを確認しておきましょう。
「商用利用」と似た言葉に「営利目的」があります。双方とも利益を得るための行為ですが、営利目的の中に商用利用が含まれる形です。
- 営利目的とは、利益を得るための行為全般を表す言葉です。
- 商用利用とは、既存の著作物を二次利用して利益を得る行為を指す言葉です。
ここで、「利益を得る」には、直接的に金銭を得るだけではなく、企業や個人経営施設の宣伝やイメージアップを目的としたもの、更には社内資料への利用も商用利用に含まれるので注意が必要です。
また、独自の画像を作成する(既存の著作物の二次利用ではない)場合でも、ツールやライセンスの種類によっては企業における商用利用を認めていない場合があります。
Adobe製品を例に挙げると、「個人プラン」では生成物の個人的な商用利用は許諾されていますが、利用範囲や形態には様々な制約が存在します。
企業で使用する場合は「ビジネス・プラン」契約が現実的です。
- 非商用利用とは、商用利用に当たらないことを意味します。
非商用利用の一般的な範囲は、個人利用(趣味、家庭内利用、収益を伴わない個人ブログ等々)、教育・研究など、生成物の使用が収益を目的としない行為を指します。
この様に、ツールによって基準や解釈が異なる場合があるので、必ず各ツールの利用規約を確認し、不明な点はライセンス元に確認することが賢明です。
画像生成AIツール共通の注意点
画像生成AIツールを使用する上で基本的、共通的なルールを知っておきましょう。
- 利用規約の遵守
- 他人の権利を侵害しないこと
有名人やキャラクターに酷似した画像を作成し、商品化するのはリスクがあります(肖像権・商標権の侵害)。
- 生成物に対して第三者の著作物や類似物を含めないこと
例:ディズニーキャラ風、特定ブランドのロゴ類似物、など。
画像生成AIツール別の注意点
代表的な3種類の画像生成AIツールを例に、それぞれの商用利用とクレジット(出典元明記)に関する規約を見てみましょう。
Stable Difusion
商用利用 | 基本的に可能 |
クレジット | 基本的に不要 |
基本的に商用利用を許諾しており、クレジット表記も基本的に不要です。
ただし、以下の注意点を確認してください。
【注意点】
- Stability AI社が提供するSDXLやStable Difusion Turboなどの追加機能を利用する場合は別途契約を要します。
- img2img機能を用いて元の画像を加工した二次画像の商用利用は、著作権を侵害するリスクが生じます。
元の画像が持つ権利を十分に確認することが大事です。
Canva
商用利用 | 基本的に可能 |
クレジット | 基本的に不要 |
無料プラン、有料プランともに商用利用が可能で「Canva」のクレジット表示も不要ですが、以下の規約を設けています。
【注意点】
- 商標、デザインマーク、商号、ビジネス名、及びサービスマークの一部として、Canvaが提供するグラフィック素材や写真素材を含んだデザインを使用することは許可していません。
Canvaコンテンツ使用許諾契約と、商用利用にはCanvaの法務解説を確認することを勧めます。
OpenAI/DALL·E
商用利用 | 基本的に可能 |
クレジット | 基本的に不要 |
OpenAI/DALL·Eで生成した画像は原則として商用利用は可能です。
QpenAIが言う「商用利用の例」には、広告やSNS投稿、ブログ記事のアイキャッチ、書籍、雑誌、製品のパッケージ、販売用グッズ(Tシャツ、ポスター等)があります。
OpenAIの利用規約では、生成画像を使用する際に「©OpenAI」などの表記を求めていません。
ただし、ブログや記事で「AIで作ったことを示したい」「透明性を出したい」場合に、クレジットを付記することは任意です。
OpenAIが勧めるクレジットの例:「画像はOpenAI/DALL·Eで生成」「Image generated with OpenAI’s DALL·E」
著作権とAI画像の関係
AIが生成した画像は、著作権法において「著作物」と認められるか否かが議論されています。日本において現時点では、AIそのものに著作権は認められていません。
日本の著作権法: AIが自動的に生成した画像は、原則として著作権の対象外とする。
なぜなら、著作権は「思想又は感情を創作的に表現した」ものに与えられるものであり、AIには思想や感情がないと見なされるためです。
ただし、生成に使用したプロンプトに「創作的な関与」が認められれば、著作権が発生する可能性があります。
世界各国で個別にAI著作権の議論が進行中ですので、常に最新の情報の入手に心掛けてください。
以下に、画像生成AI著作権に関する主要国の法解釈の違いを挙げてみました。(2025 年9月現在)
国名 | 法解釈 |
---|---|
米国 | AI生成物には原則的に著作権は無い。 人間の独創的関与は考慮される。 |
英国 | オリジナルなAI生成物は著作権保護の対象となる。 |
EU | AI生成物にはAI生成物である明示を義務化している。AIを補助とした生成物は著作権保護の対象となる可能性あり。 |
中国 | 2013年11月北京裁判所判は「AI生成物は著作物であり著作権保護の対象となる。」と判示したが、学会で激しい論争が続いている。 |
まとめ
ポイントまとめ
・AI画像は「基本的には商用利用可能」ですが、実際には 他人の権利侵害や法的グレーゾーン が潜んでいます。
・利用規約を正しく理解することが最も重要です。利用するAIツールの公式ウェブサイトで、最新の規約を必ず確認しましょう。
・商標権や著作権侵害を避けるため、有名キャラクターやブランドロゴとの類似をチェックして、意図しない危険を排除しましょう。
・規約で求められていなくても、「この画像はAIで生成しました」と明記することで、見る人に親切な印象を与えられます。
・生成した画像に手を加える(色調整、トリミング、テキストの追加など)ことで、より独自性を高めることができます。
AI画像は、アイデアを素早く形にし、コストを抑えてクリエイティブな素材を手に入れることができる強力なツールです。
大切なのは、利用するツールの規約を理解し、著作権に関する基本的な知識を持つことです。
これらのポイントを押さえることで、安心してAI画像を商用利用し、あなたのビジネスをスムーズに進めることができるでしょう。