最終更新日:2025年12月24日(2025-12-24)
SEOポイズニングは、検索エンジンの信頼性を逆手に取った巧妙な攻撃手法です。
一度でもインシデントが発生すれば、大切な情報が流出するだけでなく、築き上げてきた企業の信頼を損なってしまうことになりかねません。
そこで本記事では、SEOポイズニングの概要や手口、安全性を向上させるための対策方法について詳しく解説します。
目次
SEOポイズニングとは

SEOポイズニングとは、検索エンジンを騙して有害なコンテンツを上位に表示させ、無防備なユーザーを有害なウェブサイトに誘導する詐欺手法のことです。
英語の「poisoning」(意味:毒を盛る、汚染する)が由来で、検索結果という公共の場を悪意で汚染する行為を指します。
具体的な手口としては、
- 偽物のショッピングサイトを上位表示させて詐欺につなげる
- マルウェアを仕込んだダウンロードサイトに誘導してコンピュータをウイルス感染させる
などが挙げられます。
インターネットユーザーが日々利用する検索エンジンの仕組みに便乗し、悪意のある者たちが巧妙に罠を仕掛けているのです。
SEOポイズニングの目的
SEOポイズニングの主な目的は、
- 個人情報の取得
- 金銭の詐取
- マルウェアのインストール
です。
攻撃者は、この目的を達成するために、SEOポイズニングを行い、個人情報やクレジットカード情報を盗み取ろうとします。
さらに、フィッシング詐欺に誘い込むなど、さまざまな悪意のある目的で利用されることも。
単発の攻撃だけでなく、組織的な犯罪にSEOポイズニングが利用されるケースも少なくありません。
犯罪者は、盗み取った情報を使って金銭を奪ったり、別の犯罪に悪用したりします。
また、マルウェアに感染したコンピュータを遠隔操作して、ボットネットと呼ばれるネットワークを構築し、サイバー攻撃などに悪用することもあります。
SEOポイズニングに対するGoogleの評価とリスク
SEOポイズニングは、検索を利用する一般ユーザーだけでなく、Webサイトを運営する企業や個人にとっても極めて深刻な脅威となります。
なぜなら、あなたのサイトそのものが、攻撃者の「踏み台(道具)」として悪用される危険があるからです。
「運営実績があるサイト」は狙われやすい
攻撃者は、新しく作ったばかりの怪しいサイトよりも「既に運営実績があり、Googleから一定の信頼性を得ているサイト」を乗っ取るほうが効率的だと考えます。
具体的な手法については後ほど詳しく解説しますが、管理者が気づかないうちに不正なコードを埋め込まれ、訪問者を偽サイトへ強制的にリダイレクトされるケースが後を絶ちません。
Googleによるペナルティを受けることも
Googleなどの検索エンジンは「ユーザーの安全」を第一に考えています。
そのため、SEOポイズニングが検知されたサイトには、即座に厳しい措置が取られます。
| 措置の例 | 内容 |
|---|---|
| 警告メッセージの表示 | 「このサイトはコンピュータに損害を与える可能性があります」といった赤文字の警告が表示される |
| SEOの評価のリセット | ・検索順位の急落 ・インデックスから完全に削除されることも |
自分のサイトが被害を受けているにもかかわらず、他者を傷つける「加害者」の役割を担わされてしまうのが、SEOポイズニングのもっとも卑劣な点です。
そのような被害に遭わないためにも、サイトを安全に保つための未然の防止策を実施することが大切です。
SEOポイズニングの仕組み

SEOポイズニングは、検索エンジンの隙を突く「ブラックハットSEO」と呼ばれる手法を悪用して行われます。
これは、不正な手段を使って検索エンジンのランキングを操作する手法です。
先ほど触れた「正規サイトの乗っ取り」も、こうした技術の積み重ねによって実行されます。
ブラックハットSEOの手口には、大きく分けて
- コンテンツを偽装する手口
- サイトの信頼性を悪用する手口
の2種類があります。
コンテンツを偽装する手口
検索エンジンの目を欺き、内容が薄いページを「価値がある」と誤認させ、不正にランキングを操作する手法です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| キーワード詰め込み (隠しテキスト) | 背景色と同じ文字を使うなどしてキーワードを大量に埋め込み、「関連性が高い」と誤認させる手法 |
| 自動生成コンテンツ | AIやツールを使って使って意味のない文章を自動生成し、Webサイトに掲載する手法 |
| メタタグの不正利用 | ページの内容とは無関係なワードをメタタグに詰め込み、検索の網を広げる手法 |
| スパンニング | 大量の低品質なwebサイトを作成し、検索エンジンのランキングを操作する手法 |
サイトの信頼性を悪用する手口
正規サイトになりすましたり、他社のサイトの制御を奪ったりすることで、ユーザーを騙す手法です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ドメインハッキング | 有名企業や組織のドメイン名に似たドメインを取得し、悪用する手法 |
| クローキング | 検索エンジンのクローラーには安全なページを見せ、実際のユーザーには偽サイトを表示させる手法 |
| スパムコメント | ブログやフォーラムなどに大量のスパムコメントを投稿する手法 |
| ソーシャルメディアスパム | ソーシャルメディアで、大量のスパムメッセージを送信したり、偽アカウントを作成したりする手法 |
| リンクファーミング | 不正な方法でwebサイトへのリンク数を増やす手法 |
検索エンジンのアルゴリズムは日々進化しており、不正な手法は検知されやすくなっています。
しかしそれでも、より巧妙な手法を用いて検知を逃れようとする攻撃者がおおいため、注意が必要です。
実際に起きたSEOポイズニングの事例
SEOポイズニングによる被害は、2024年から2025年にかけて前年比40%以上増加しています。
主に「毎年発生する季節イベント」や「多くの人が日常的に利用するサービス」「関心の高いニュース」に関するキーワードが狙われやすいです。
ここでは、実際に起きたSEOポイズニングの事例を2つ紹介します。
事例①偽サイトへの誘導
有名ブランドや人気ツールの公式サイトを模した「偽サイト」に、ユーザーを誘導する手口です。
2025年の最新レポートによると、「人気ビジネスツール(ZoomやMicrosoft Teams)の偽ダウンロードサイトが検索上位を占拠する事例」が相次いで発生しています。
2025年上半期だけでも、中小企業を中心に8,500件以上の被害が報告されているほどです。
事例②「インフォスティーラー」によるアカウント乗っ取り
最近のサイバー犯罪で特に警戒されているのが、情報の窃取に特化した「インフォスティーラー」というマルウェアの配布です。
具体的な方法としては、「無料のデザイン素材」「最新の業界レポート」などのダウンロードを装い、PCを感染させます。
これにより、Webブラウザに保存されているIDやパスワード、銀行のログイン情報などがすべて盗まれます。
日本国内では、2023年から2024年にかけて、有名企業の公式SNSアカウントや個人のYouTubeアカウントが次々と乗っ取られる事件が多発しました。
その多くが、このインフォスティーラーによるものです。
SEOポイズニングから身を守るための対策方法
SEOポイズニングの手口は巧妙ですが、いくつかのポイントを押さえることで被害を未然に防ぐことが可能です。
ここでは、SEOポイズニングから身を守るための対策方法を解説します。
異常な検索結果を見極める
検索結果に並んでいるWebサイトが必ずしも安全とは限りません。
次のような違和感のある検索結果には十分注意しましょう。
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 不自然なドメイン名(URL) | ・公式サイトと一文字違い ・意味不明な英数字の羅列 ・「.xyz」や「.top」といった安価なドメイン(詐欺で使われるケースが多い) |
| スニペット(説明文)の異常 | ・不自然な日本語 ・キーワードの過剰な繰り返し ・大量の誤字脱字 |
| 検索意図との不一致 | ・検索ワードと関係ない内容のサイト(旅行情報を探しているのに金融商品の広告が並ぶなど) |
| 運営元の情報が不明確 | ・運営者や連絡先の情報が掲載されていない ・偽の情報が掲載されている |
「自分は騙されない」と思っていても、時間に追われているときや、巧妙な偽サイトを前にしたときなどには注意が必要です。
そのようなときは、ITリテラシーの高い人でも被害に遭うことがあります。
セキュリティソフトを活用する
信頼性の高いセキュリティソフトを利用して、マルウェアやフィッシングの脅威からPCを保護しましょう。
ただし、SEOポイズニングをはじめとする最新の脅威は、1つのソフトだけで防ぐことは困難です。
以下の表のように、役割の異なる製品を組み合わせる「多層防御」が推奨されます。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| ウイルス対策ソフト | ・既知のウイルスの侵入をデータベースと照合してブロック ・リストに載っていない新種のウイルスは検知されにくい |
| EDR | ・リストにない未知の攻撃でも、PC内での「不審な動き」から異常を検知 ・被害が広がる前に封じ込め、インシデントを最小限に抑える |
| クラウドWAF | ・自社サイトが攻撃の踏み台にされないための壁を作る ・外部からの不正なアクセスを遮断し、サイトの改ざんを未然に防ぐ |
これらのセキュリティツールは、常に最新の状態に保つことを心がけましょう。
攻撃者は常に新しい手法を開発しているため、古いセキュリティツールでは最新の脅威に対応できない可能性があります。
従業員のセキュリティ意識を高める
どれほど高度なセキュリティ製品を導入しても、最終的に操作を行うのは「人」です。
SEOポイズニングは人の隙を突く攻撃であるため、従業員一人ひとりの「判断力」を養うことが、サイバー攻撃から組織を守る最後の砦となります。
社内研修を定期的に開催し、SEOポイズニングの最新の手口や対策方法についての教育・トレーニングを行うことで、従業員のセキュリティ意識を高めることができます。
社内のポータルサイトなどにSEOポイズニングに関する注意喚起の資料を掲載したり、定期的に注意喚起のメールを送信したりするのも効果的な対策です。
SEOポイズニングの被害を受けてしまったら
「怪しいファイルをダウンロードしてしまった」「身に覚えのないログイン通知が届いた」など、SEOポイズニングの被害が疑われる場合の対処法を解説します。
被害を最小限に抑えるために、以下のステップで迅速に対応しましょう。
①端末をネットワークから隔離する
まずは、感染が疑われるPCやスマホをネットワークから切り離します。
Wi-Fiをオフにする、またはLANケーブルを抜きましょう。
これにより、インフォスティーラーなどのマルウェアが外部のサーバーへ情報を送信したり、他の端末へ感染を広げたりするのを防ぐことができます。
攻撃者の通信を遮断することが、二次被害を防ぐもっとも有効な手段です。
②パスワードを変更する
被害が確認された場合は、速やかに全てのパスワードを変更することを推奨します。
SEOポイズニングによって、ユーザーのアカウント情報が盗み取られる可能性があるためです。
新しいパスワードは、第三者に推測されにくいよう、英数字と記号を組み合わせた複雑な文字列に設定しましょう。
同じパスワードを使い回している場合は連鎖的に被害が広がるリスクがあるため、それぞれ異なるものに設定し直してください。
変更後はパスワードを適切に管理し、定期的な変更や二要素認証の活用を継続することで、将来的な情報漏洩のリスクを低減できます。
③専門部署に報告する
速やかにシステム管理部門やセキュリティ担当部署への報告を行うことも大切です。
早期に情報を共有することで、組織全体での迅速な調査が実施され、被害の範囲を正確に特定することが可能になります。
こうした報告を躊躇なく行える環境を整えておくことが、結果として企業の社会的信頼を守り、インシデントの深刻化を防ぐ誠実な対応へと繋がります。
まとめ
ポイントまとめ
・SEOポイズニングとは「有害なWEBサイトを上位表示させ、無防備なユーザーを誘導する詐欺手法」のこと
・被害を未然に防ぐためにはブラックハットSEOの手口を知っておくことが大切
・違和感のあるWebサイトには近づかないこと
SEOポイズニングは、検索エンジンの信頼性を悪用する巧妙な攻撃です。
しかし、基本的な知識と対策を理解することで、被害を受けてしまうリスクを低減できます。
日常的に注意を払い、検索結果に少しでも違和感を覚えたら、まずは疑う習慣を身につけましょう。
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