ホームページの制作を依頼したものの、制作会社と突然連絡が取れなくなってしまうトラブルが発生することは珍しくありません。
「費用を支払ったのに納品されないのではないか?」
「ドメインやサーバーは大丈夫なのか?」
と焦ったり、不安になる方も多いでしょう。
実は、その原因は制作会社の様々な事情によるものが多く、決して悪意によるものばかりではありません。
つまり、事前に正しい知識を知って適切に対処すれば、トラブルが発生した時のリスクを大幅に減らすことができるのです。
この記事では、制作会社と連絡が取れなくなる原因・契約する前に確認すべきポイント・トラブル発生時の対処法をわかりやすく解説します。
「社内の事情」で連絡が取れなくなる
制作会社と連絡が取れなくなる原因の多くは、人手不足や離職といった社内の事情に関連しています。
それらの事情が重なった結果、もはや物理的に連絡が取れなくなっている場合も少なくありません。
このような原因を正しく理解しておけば、不要なトラブルを避けることができます。
連絡が取れなくなる理由
IT業界は元々人材の流動性が高く、さらに事業に参入しやすい分廃業するケースも多いです。
また、小規模な制作会社では少人数の担当者が膨大な案件を抱えており、キャパオーバーになってクライアントへの連絡が滞るようになります。
具体的な事情として、下記のようなものが考えられます。
- 制作会社が依頼・委託していたフリーランスが廃業した
- 制作会社自体が倒産・もしくは事業を縮小した
- 担当者が退職したが引き継ぎが行われていない
- 人手不足による対応の遅れ
これらのサインから、危ない制作会社を見定める方法を次に解説します。
体制が未整備な会社には要注意
制作会社とのトラブルを防ぐためには、契約前や契約後もリサーチが必要です。
トラブルが発生しやすい制作会社は、「社内の体制が整っていない」という傾向があります。
担当者とのやり取りや書類の不備、または組織の運営体制に不安を感じたら、トラブルに発展しないよう注意を払いましょう。
①見積もりや返信が遅い
問い合わせに対するレスポンスの速さは、納品後のサポート対応に直結しています。
そもそもレスポンスが遅い制作会社は、納品後もさらに対応が鈍くなる傾向があります。
下記のような対応があった場合は、スムーズにコミュニケーションが取れないサインです。
- 見積もりの提出期限を守らない
- 質問に対して曖昧な回答しか返ってこない
- 当日に来ていた返信が徐々に遅くなる
- 電話ではなくメールやチャットのみの対応になる
このような対応が増えたら、相手先に何らかの異変があると疑いましょう。
②契約書・仕様書を用意しない
契約時に内容を書面に残さず、口頭や簡単なメモだけで済ませると、問題が発生した場合に制作会社へ適切な対応を求めることができません。
契約書には重要事項を明記し、内容について疑問点や曖昧な点があれば、契約する前にしっかり確認するよう心掛けます。
もしも、「面倒だから」「急いでいるから」「慣例だから」などの理由で契約書・仕様書の作成を断られたら、本当に契約すべきか再考しましょう。
③料金が相場より安い
新規顧客獲得のため安さを売りにする制作会社は、薄利多売で受注を優先するため、品質の低下や既存顧客のフォローに手が回らないことがあります。
極端に料金が安い反面、納品後のサポートやトラブル発生時の対応を後回しにされるケースが多いです。
さらに、下記のような悪質なケースも見受けられるので注意しましょう。
- ホームページの制作途中や完成後にオプション費用を次々と請求される
- 作業は進んでいないのに入金確認や月額費用の請求は滞りなく行われる
しかし、料金が安い制作会社の全てが問題というわけではなく、その料金の根拠をしっかりと説明できるのであれば除外する必要はありません。
④ホームページやSNSが更新されていない
自社のホームページ・SNSが長期間更新されていない制作会社は、信頼性に問題がある、あるいは技術力や提案力が不足していると考えられます。
自社のホームページやSNSを放置している制作会社が、クライアントを継続的にサポートするのは難しい可能性が高いです。
ホームページの内容を見て、下記のような状態なら注意しましょう。
- ホームページ制作の実績自体が少ない
- 掲載先のホームページが既に削除されている
- 制作実績に古い事例しか掲載されていない
ホームページがそのような状態では、もはや経営意欲がないとも言えるので、依頼するリスクは大きくなります。
連絡が取れないと発生するリスク
制作会社と連絡が取れない状態を放置していても、状況は悪化する一方です。
連絡が取れなくなると生じるリスクは、ホームページが完成しない・更新や修正ができない・セキュリティの不備などが考えられます。
制作会社と連絡が取れないままにしていると、ホームページの消滅・サイバー攻撃による被害などの危険にさらされることもあります。
①プロジェクトそのものが中断する
ホームページの制作途中で制作会社と連絡が取れなくなると、そのプロジェクト全体がストップするリスクがあります。
他社へ変更しようとしても、現在のホームページのソースコードや、サーバーのログイン権限が手元になければ変更ができません
その結果、完成が遅れるだけでなく、最悪の場合はホームページを最初から作り直すことになり、余計なコストと時間を費やすことになってしまいます。
②ホームページの更新・修正が止まる
ホームページの更新・修正ができなくなると、せっかくのホームページが機能しません。
ホームページはシステムやプラグインなどのアップデートによって、突然表示が崩れたり、問い合わせフォームが動かないといったバグがよく発生します。
これらの不具合を修正しないと、検索順位の低下による売上の機会損失・ホームページ自体の稼働停止によって、ビジネスや業務に支障が出るリスクがあります。
③ドメインやサーバーの契約が失効する
制作会社がドメインやサーバーの契約手続きを行わないと、ドメインやサーバーが使用できなくなってしまいます。
すると、ホームページは突然インターネット上から消えてしまい、ホームページの表示やメールの送受信が一切できなくなってしまうのです。
さらに、失効したドメインを他人に取得されてしまうリスクも起こります。
④セキュリティ対応が放置される
制作会社と連絡が取れなくなると、ホームページのセキュリティ対応が行われなくなってしまいます。
セキュリティ対応が不十分なホームページは、サイバー攻撃や不正アクセスのリスクが高まります。
その結果、個人情報の流出やウイルス感染などの被害を受けた上に、場合によっては加害者として法的責任を問われる事態になりかねません。
⑤制作費用が回収できなくなる
ホームページが完成する前に制作会社と連絡が取れなくなると、既に支払った費用の返金請求が難しくなり、金銭面やビジネスにおいてもダメージを受けてしまいます。
相手先が廃業・倒産している場合は、法的手段を取っても費用の回収が極めて困難になり、全額回収を諦めざるを得ないこともあります。
契約する時には、どのように費用を支払うかという条件を明確に決めておきましょう。
重要事項は必ず書面に残す
契約を交わす前に大切なポイントをチェックすれば、制作会社との間で発生するトラブルの多くを防げます。
トラブルを防ぐために、事前に相手先の信頼性や実態のリサーチを行い、双方で決定した事項を文字で残すようにします。
実際の契約時は、契約書の内容をよく確認した上で、重要事項は必ず書面に明記するようにしましょう。
実態や信頼性を確認する

▲引用元:国税庁法人番号公表サイト
まずは「国税庁法人番号公表サイト」で、その制作会社の設立年・所在地・法人番号が正しく登記されているかを確認しましょう。
実在するオフィスや固定電話の番号が無く、問い合わせ窓口がフォームのみという制作会社は、トラブル発生時に連絡がつかない可能性が高いです。
また、制作実績も直近の情報が公開・紹介されていなければ、技術力や信頼性が低い疑いがあります。
契約内容や条件を書面に残す
ホームページの制作範囲や責任の分担が明確に定められていないと、トラブルが発生しやすくなります。
トラブル防止のため、契約書には必ず重要事項を明記するようにしましょう。
具体的には、打ち合わせを経て決定した以下の事項です。
- 作業範囲
- 納期・納品物
- 保守・メンテナンス
- 著作権
- 連絡方法・責任者の氏名
- 契約期間
- 解約条件
これらを明記しておけば、もしトラブルが発生しても解決がスムーズになります。
トラブルを防ぐやり取りのポイント
トラブルを未然に防ぐため、契約前に「月に1回は定期的に連絡を入れる」などのルールを明確にしておきましょう。
双方で連絡についての詳細が決まったら、必ず契約書や仕様書に明記するようにします。
具体的には、下記のような内容です。
- やり取りの窓口になるのは誰か?
- 担当者が不在の場合は誰が対応するのか?
- 連絡から何営業日以内に返信するのか?
連絡にはメールやチャットツールなどを使用して、やり取りの内容を文字で残す習慣をつけると安心です。
連絡が取れない場合の対処法
どれだけ事前に対策をしても、トラブルが全て無くなるわけではありません。
トラブル発生時はまず連絡が取れるかを確認し、こちらからログインできるか確かめて、いずれも不可能なら法的措置を検討します。
大切なのはトラブルを拡大させないため、冷静に手順を踏んで対応することです。
まず確認すること・初動対応
制作会社と連絡が取れなくなったら、契約書で連絡先を再確認して連絡を試みましょう。
担当者が忙しくて返信が遅いのか、それとも音信不通なのかによって、こちらが取るべき行動が変わります。
それぞれの状況から想定される事態と、どのように行動すべきかを以下にまとめました。
| 想定される状況 | 主な兆候・予測される事態 | 取るべき行動 |
|---|---|---|
| 単なる連絡ミス | 元々レスポンスが遅い多忙でキャパオーバーメールを見落としている | 普段とは異なる方法で連絡を取る明確な締め切りを提示する |
| 担当者が退職した | 後任者に引継ぎがされていない社内体制が未整備 | 会社の代表窓口・問い合わせフォームや上司・経営者へ直接連絡する |
| 会社が倒産した | 電話が止められている制作会社のホームページ自体が消えている事務所に誰もいない | 制作会社宛に「内容証明郵便」や「特定記録郵便」で催告状を送付する |
トラブル発生時に確保するもの
契約によってはホームページの制作・管理がすべて制作会社任せで、制作会社以外は誰もホームページのログイン情報を知らないというケースがあります。
この場合、もし制作会社と連絡が取れなくなると、ホームページの更新や修正が一切できなくなってしまうのです。
トラブルが発生したら、早急に下記の項目を確認・確保するようにします。
- ドメインの所有権は誰の名義か?
- レンタルサーバーの契約は更新可能か?
- バックアップデータを早急に確保する
- CMSの管理画面へのログインID・パスワードを確認する
- ソースコード・制作データの納品を求める
ドメイン・サーバー・CMSのログインIDやパスワードは、トラブルに備えて初期設定の段階でログイン情報を共有してもらい、安全な場所に保管しておきましょう。
相談窓口や法的手段
自力によるトラブルの解決が難しいと判断したら、契約解除に向けた法的・事務的な手続きに移ります。
実際の損害(納期遅延・損失など)以外でも、内容によっては未完成の作業部分についても法的措置を取ったり、損害賠償を請求できる可能性があります。
相手先とやり取りした履歴や領収書なども、証拠として整理しておきましょう。
| 行動 | 内容・効果 |
| 消費生活センターへ相談する | 電話番号「188(いやや)」へ連絡契約トラブルや返金交渉に関するアドバイスを無料で受けることができる |
| 内容証明郵便による催告状の送付 | 返金や対応を正式に求める文書を内容証明で送付する相手に法的なプレッシャーを与える |
| 弁護士に相談する | 支払い済みの金額が大きい場合制作会社の廃業・倒産が疑われる場合専門家による法的なアドバイスを受けられる |
まとめ
大切なホームページの制作を依頼するにあたって、「この制作会社は良さそうだから」と安易に決めることは避けましょう。
契約する際に正しい知識があれば、トラブルが発生しても被害を少なくすることは可能です。
そして、トラブルが発生した時は焦らず適切に対応すれば、大切なホームページを失うリスクを最小限に減らすことができます。
この記事が、信頼できる制作会社を選ぼうとしているあなたの参考になれば幸いです。














・依頼しようとしている制作会社について、事前にリスクの高い会社ではないかを調べておく
・制作会社と連絡が取れないままにするとリスクが高まるので、異変を感じたら即座に対策を取ることが重要
・トラブルが発生したら必要な手続きを冷静に行い、大切な資産を自ら確保しておくことがいざという時の備えになる