昨今、Webサイトをスマホやタブレット等のデバイスで最適に表示するためには、レスポンシブデザインが欠かせません。
この記事では企業のWeb担当者や個人事業主の皆様に向けて、レスポンシブデザインにかかる費用を抑え、限られた予算内で効果的な成果を得るためのポイントをお伝えします。
レスポンシブデザインにかかる費用は?
費用を比較する:既存サイトのレスポンシブ化と新規制作
既存のWebサイトをレスポンシブ対応にする場合と、新規にレスポンシブデザインでWebサイトを制作する場合では、費用が大きく異なります。
既存のサイトを改修する場合は、以下の点を確認してください。
- 元々のサイトの構造やデザインをどれだけ変更するかによって、費用が大きく変動する
- 既存のサイトの構造が複雑であったり大幅なデザイン変更が必要になると、改修にかかる工数が増えて費用が高くなる
- 既存サイトのレスポンシブ化は短期間でできる場合があるが、デザインの制約を受けることがある
新規に制作する場合は、以下の点を確認してください。
- デザインの自由度は高いが、初期費用が高くなる傾向がある
- 最新の技術や設計を取り入れやすく、将来的な拡張性やメンテナンス性にも優れる
- 新規制作は時間と費用がかかるものの、理想的なWebサイトをデザインできる上に、場合によっては既存サイトの改修より安くなることもある
どちらを選択するかは予算や目的、将来的な展望などを考慮して決定しましょう。
項目 | フリーランス | 制作会社 |
---|---|---|
費用 | 安価(5万〜) | 高め(15万〜) |
スピード | 柔軟に対応可能 | 工程管理がしっかりしている |
クオリティ | 担当者次第 | チーム体制で安定 |
ページ数と機能で費用は変わる
ページ数が多ければ多いほどデザインやコーディング・コンテンツ作成にかかる工数が増加し、特に動画やアニメーションを表示したり、データベースと連携するような機能は開発に高度な技術が必要となるため、より費用が高くなります。
Webサイトのページ数やどのような機能を搭載するかが費用を左右するので、本来必要な機能を厳選し、優先順位をつけることで費用を最適化することが可能です。
初期段階では必要最低限の機能のみを実装し、Webサイトの成長に合わせてその後機能を追加していくという方法もあり、さらにCMS(コンテンツ管理システム)を導入することで、Webサイトの更新や管理にかかる費用を削減できます。
サイトのページ数と機能のバランスを考慮し、コストパフォーマンスの高いWebサイトを構築することが重要です。
画像の最適化とコンテンツ調整の重要性
レスポンシブデザインにおいて画像を様々なデバイスで最適に表示するために、専門知識を用いて画像サイズを調整・圧縮することが不可欠です。
解像度の高い画像をそのまま使用すると表示速度が遅くなり、ユーザーエクスペリエンスを損なう恐れも…。
それを防ぐためにも、画像最適化ツールやソフトウェアを使用して、画質を維持しながらファイルサイズを小さくする必要があります。
また、パソコンでは横並びで表示される画像を、スマートフォンに合わせて縦に重ねて表示するなど、Webサイトのレイアウトを調整することも必要です。
すべてのデバイスで快適なユーザーエクスペリエンスを提供することが、レスポンシブデザインの目的なので、画像の最適化とコンテンツ調整は、レスポンシブデザインのクオリティを向上させるために必要不可欠となります。
レスポンシブデザインの費用を左右する3つの要素
Webサイトの種類
コーポレートサイト・ECサイト・ランディングページなど、Webサイトの種類によって必要な機能やデザインは異なるため、それぞれ費用も変わります。
ECサイトの例では、以下のようなものが挙げられます。
- 商品登録や決済機能が必要になるため、コーポレートサイトよりも費用が高くなる
- クレジットカード情報の保護や個人情報保護法への対応など、セキュリティ対策にも費用がかかる。
Webサイトの種類に応じて必要な機能やデザインを検討し、適切な費用を算出することが重要です。
Webサイトの目的に合わせた最適なWebサイトを構築しましょう。
ブレイクポイントの数
ブレイクポイントとはデバイスの画面サイズに対応して、デザインを切り替えるポイントのことです。
ブレイクポイントの数が多いほど、様々なデバイスで最適な表示が可能になりますが、デザインやコーディングの工数が増えるため、それに伴い費用も高くなります。
一般的なブレイクポイントとしてはパソコンやタブレット、スマートフォンなどがありますが、現在はスマートフォンの画面サイズも多様化しており、以前より細かくブレイクポイントを設定することが必要なのです。
シンプルにパソコンとスマートフォンのみに最適化すれば大幅に費用を削減できますが、一部のタブレット端末では表示が最適化されない可能性があるため、注意を要します。
費用を抑えたい場合は、ブレイクポイントを必要最低限に絞ることも検討しましょう。
外注先の選定
Web制作会社・フリーランス・クラウドソーシングなど、どれを選択するかによって費用が変わります。
外注先 | メリット | デメリット |
---|---|---|
Web制作会社 | 高品質なWebサイトを制作できる専門的な知識や経験を持つスタッフが在籍しており、プロジェクトマネジメントも徹底しているため、品質が安定している | ・品質に比例して費用も高くなる ・制作会社とミスマッチが生じた場合に余計な手間が増えてしまう |
クラウドソーシング | 多数の制作者から提案を受けることができるため、費用を比較検討しやすい | ・費用を抑えられる ・品質にばらつきがあるため、実績やスキルをよく確認する必要がある |
フリーランス | 特定の分野に特化したスキルを持っている場合があり、柔軟な対応が期待できる | ・費用を抑えられる ・思った通りの仕上がりにならなかったり、途中で連絡が取れなくなるといった問題が発生する可能性もある |
外注先を選ぶ際には予算・品質・納期等を考慮して、最適なパートナーを選びましょう。
レスポンシブデザインの費用を抑えるポイント5つ
CMS(コンテンツ管理システム)の活用
WordPressなどのCMSを利用することで、専門知識がなくてもWebサイトの更新や管理が容易になります。
CMSはWebサイトのコンテンツを効率的に管理するためのシステムなので、テキスト・画像・動画などを簡単に編集、追加したり削除することが可能です。
また、CMSにはSEO対策機能やアクセス解析機能などが搭載されているものもあり、Webサイトの運営をサポートしてくれます。
最初からレスポンシブ対応のテーマを利用すれば、デザインやコーディングの費用を抑えられる上に、レスポンシブ対応のテーマは様々なデバイスで最適な表示になるように設計されているので、デザインやコーディングの知識がなくても、簡単にレスポンシブデザインに対応したWebサイトを作成可能です。
つまり、CMSを活用することで、Webサイトの制作費用だけでなく、運用費用も削減することができます。
テンプレートデザインの利用
既存のテンプレートデザインを利用することで、オリジナルデザインに比べて費用を大幅に抑えることができます。
テンプレートデザインはWebサイトの雛形があらかじめデザインされており、デザインの知識がなくてもテキストや画像等を変更するだけで、簡単にプロ並みのWebサイトを作成できるというメリットがあります。
その反面、テンプレートデザインにはデザインの自由度が低いというデメリットがありますが、費用を抑えたい場合には有効な選択肢です。
テンプレートデザインを選ぶ際はレスポンシブ対応であること、Webサイトの目的に合ったデザインであること、カスタマイズが可能であることなどを確認しましょう。
このように、テンプレートデザインを上手に活用することで、費用を抑えながら、高品質なWebサイトを作成できます。
ブレイクポイントの削減
ブレイクポイントの数が多ければ様々な画面サイズに対応できますが、ブレイクポイントを増やすとデザインやコーディングの作業量が増えて費用も高くなります。
ブレイクポイントの数を減らせばデザインやコーディングの工数や費用を削減できます。
しかし、一部のデバイスで最適な表示ができなくなる可能性が生じるので、ブレイクポイントを削減する際はWebサイトのターゲットユーザーが使用するデバイスを考慮し、最適なブレイクポイントを設定することが重要です。
ページ数を絞る
製作するページ数が多いほど費用が高くなるので、Webサイトにおいて必要最低限のページ数に絞って不要なページを削除したり、コンテンツを統合することでページ数も制作費用も削減できます。
ページ数を絞る際はWebサイトの目的を明確にし、ユーザーにとって本当に必要な情報のみを提供することを心がけましょう。
キャンペーンの活用
新規顧客の獲得や特定のサービスの販売促進のために、Web制作会社がキャンペーンを実施することがあります。
これをうまく活用すれば、通常よりも費用を抑えながら高品質なレスポンシブデザインを導入することができます。
キャンペーンを利用する際には内容をよく吟味し、キャンペーンの適用条件や期間なども確認して、製作するWebサイトの要件に合っているかを検討しましょう。
制作会社を選ぶ際のポイント
実績とポートフォリオを確認する
制作会社を選ぶ際は、ホームページやポートフォリオで過去の制作実績をしっかり確認しましょう。
制作実績は制作会社の技術力や、デザインセンスを判断するための重要なポイントになります。
ポートフォリオを確認する際は、Webサイトのデザインだけでなく、
- レスポンシブデザインの実績が豊富か?
- デザインのクオリティやWebサイトの使いやすさはどうか?
- SEO対策ができているか?
などをチェックしましょう。
特にレスポンシブデザインの実績が豊富であれば、様々なデバイスに対応できる技術力を持っている証明となります。
その制作会社の実績やポートフォリオが、目指すWebサイトの目的に合っているかどうかを確認することがとても重要です。
見積もりの内訳を確認する
見積もりを依頼する際は、内訳をきちんと確認しましょう。
デザイン費・コーディング費・CMS導入費等、各項目の費用が明確に記載されているか確認することで、予算オーバーを防ぐことができます。
制作会社は見積もりの内訳について、丁寧に説明する義務があります。
内訳で不明な点があれば、制作会社に対して遠慮なく質問しましょう。
説明を曖昧にされたり、質問に答えなかったりするような制作会社は避けるべきです。
見積もりの内訳を把握し、費用が妥当であるかをしっかり判断した上で、信頼できる制作会社を選びましょう。
密なコミュニケーションが取れるかを確認する
Web制作においては、制作会社との密なコミュニケーションが不可欠です。
Web制作はWebサイトの目的や要件を正確に伝えることから始まり、デザイン・コーディング・テストなどの各段階で、制作会社との連携が必要になります。
担当者のレスポンスが迅速か、こちらの要望を丁寧にヒアリングしてくれるのかが大切です。
しかし、担当者のレスポンスが遅かったり、こちらの要望を理解してもらえないと、Webサイトの制作がスムーズに進みません。
そのため、制作会社を選ぶ際は担当者のコミュニケーション能力が高いことが大変重要です。
コミュニケーション能力の高い制作会社は、クライアントの要望を正確に理解し、的確なアドバイスをしてくれるため、安心してWebサイトの制作を任せることができます。
まとめ
ポイントまとめ
・レスポンシブデザインはWebサイトを、様々なデバイスで快適に閲覧できるようにするための重要な技術であり、ユーザーエクスペリエンスを向上させるために必要不可欠である。
・レスポンシブデザインの費用は、Webサイトの種類やページ数・機能・外注先等によって大きく変動する。
・費用を抑えるためには、CMSの活用・テンプレートデザインの利用・ブレイクポイントの削減・ページ数の絞り込み等が有効な手段である。
・制作会社を選ぶ際は、実績やポートフォリオ・見積もりの内訳・コミュニケーション能力の高さ等を確認すること。
限られた予算内であっても効果的なレスポンシブ対応を実現して、予算とWebサイトの目的に合わせた最適なレスポンシブデザインを導入するために、この記事が参考になれば幸いです。