企業SNSの運用では、「何を投稿するか」だけでなく「どう判断し、どう対応するか」が重要です。
判断基準が曖昧なまま運用を続けると、炎上やトラブルのリスクが高まります。
こうしたリスクを最小限に抑え、担当者が安心して運用できる体制を整えるために欠かせないのが、企業SNSの運用ルールです。
本記事では、企業SNSの運用ルールに最低限含めるべき項目を整理しながら、その設計方法を解説します。
実務ですぐに使えるチェックリストやひな型も用意しているので、ぜひ活用してください。
目次
企業SNSの運用にルールが必要な理由
企業SNSに運用ルールが必要な理由は、大きく分けて次の4つです。
- SNSの炎上を防ぐため
- 担当者の負担を減らすため
- 情報漏えいを防ぐため
- クレームや批判に適切に対処するため
それぞれ詳しく解説します。
SNSの炎上を防ぐため
企業SNSにおける炎上は、不適切な表現やコメント対応時の判断ミスなど、さまざまなきっかけで発生します。
一見問題なさそうな投稿(サービス内容の紹介など)でも、発信の意図が十分に伝わらず、「配慮に欠ける」「上から目線だ」といったクレームがつくことも。
投稿内容や表現に関するルールを決めておくことで、投稿前に確認すべきポイントが明確になり、意図しない炎上を防ぐための判断がしやすくなります。
担当者の負担を減らすため
運用ルールがない状態では、投稿のたびにSNS担当者が判断を迫られることになります。
「この内容で大丈夫だろうか」「もし問題が起きたらどうしよう」といった不安を抱えながらのSNS運用は、担当者にとって大きな負担です。
一方、運用ルールがあれば、投稿内容の可否を個人の感覚だけで判断する必要がなくなります。
結果として、担当者の負担が軽減され、安心して運用を続けられるようになります。
情報漏えいを防ぐため
情報漏えいは、自社のブランドイメージを大きく損なう要因です。
場合によっては、取引先からの信頼低下や取引停止につながるほか、損害賠償請求や法的な問題に発展する可能性もあります。
そのようなリスクを防ぐためにも、企業SNSではあらかじめ運用ルールを定め、教育・管理体制を整えておくことが重要です。
クレームや批判に適切に対処するため
クレームや批判が寄せられた際、対応方法が定まっていないと、初動の判断が遅れて状況を悪化させるおそれがあります。
十分に注意してSNSを運用していても、クレームや批判をゼロにすることは難しいもの。
だからこそ、事前に報告先や対応フロー等のルールを決めておくことが重要です。
あらかじめルールを定めておくことで、担当者が1人で悩まず、迅速かつ冷静に対応できる体制を整えられます。
企業SNSの「運用ルール」と「ガイドライン」の違い
企業SNSの運用ルールを整備する過程では、「運用ルール」と「ガイドライン」が混同されてしまうことがあります。
運用ルールは、日々の投稿や対応で迷わないための”実務上の判断基準”として使用するもの。
ガイドラインは、”運用ルールを作る際の判断軸となる企業の方針”を示すものです。
| 項目 | SNS運用ルール | SNSガイドライン |
|---|---|---|
| 主な対象 | 自社のSNS担当者 | 社内外(従業員・関係者・ユーザー) |
| 主な内容 | ・投稿内容の判断基準 ・表現ルール ・承認フロー ・トラブル時の対応方法 | ・SNS利用の基本方針 ・企業としての姿勢 ・注意事項、禁止事項 |
| 活用シーン | ・SNSへの投稿時 ・トラブル発生時 | ・社内共有 ・説明資料 |
| 更新頻度 | 運用に応じて随時見直す | 大きな方針変更時のみ見直す |
両方を用意することで、炎上やトラブルを防ぎながら、担当者が安心して運用できる体制を整えやすくなります。
企業SNSの運用ルールに含めるべき項目
企業SNSの運用ルールを作成する際に、最低限含めておきたい項目は以下の通りです。
- SNS運用の目的・方向性
- 投稿内容・表現に関するルール
- 投稿承認・権限管理
- 炎上・トラブル発生時の対応フロー
- 法令・規約遵守
- 記録・ログ管理
それぞれの項目について、具体例を含めて解説します。
SNS運用の目的・方向性
SNS運用の目的と方向性は、「この投稿は目的に合っているか」を判断するために必要な要素です。
ルールとして定まっていないと、担当者ごとに投稿のトーンが変わって一貫性がなくなったり、運用が属人化してしまったりするおそれがあります。
【目的の例】
・認知拡大
・問い合わせ獲得
・売上を伸ばす
・顧客との関係構築 など
【方向性の例】
・ユーザーの役に立つ情報を発信する
・面白いコンテンツでバズを狙う
・誠実な対応を心がける など
また、「〇%向上させる」「〇件獲得する」といった形で具体的な数字を記載しておくと、投稿内容の可否や施策の優先順位を判断しやすくなります。
投稿内容・表現に関するルール
SNSの投稿内容や表現に関する判断は、実務でもっとも悩みやすい部分です。
担当者が迷わないよう、具体的なルールと例を設定することで、運用が安定します。
| 項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 投稿時間・回数 | 「週に2回、11時~13時の間に投稿する」など |
| 言葉遣い・トーン | ですます調、タメ口、絵文字や顔文字を使ってよいか |
| 避けるべき話題・表現 | 時事ネタ、誤解を招きやすい言い回し、個人の見解 |
| ハッシュタグの選定 | 推奨、禁止、ハッシュタグの個数 |
| 画像サイズ | ・Instagramなら1080px×1080px ・Xなら1200px×675pxなど |
投稿承認・権限管理
異動や退職などで担当者が変わっても運用が止まらないよう、役割と承認フローを文章で残しておきましょう。
【例】
・投稿作成:SNS担当者
・最終承認:マーケティング責任者
・緊急時対応:コミュニケーション部長
あわせて「投稿前に上長確認が必要か」「緊急時はどこまで現場判断で動いてよいのか」など、権限の範囲を明確にしておくとより迷いにくくなります。
炎上・トラブル発生時の対応フロー
炎上などのトラブル発生時の対応フローも、忘れずに記載しましょう。
【炎上対応フローの例】
1.問題を認識したら即時スクリーンショットを保存
2.上長に報告(担当責任者へエスカレーション)
3.広報・法務と協議
4.対応方針を決定
5.公式コメントを投稿・以降はSNS上での個別返信は控える
上記はあくまでも例のため、実際の対応内容は自社の体制やリスクレベルに応じて調整してください。
法令・規約遵守
企業SNSの投稿は、各国の法令やSNSプラットフォームの利用規約の影響を受けます。
これらを理解せずに運用すると、アカウント停止や法的リスクにつながる可能性も。
そのため、規約上どのような内容が禁止されているのか、どこまでが許容範囲なのかを、運用ルールとして明確にしておく必要があります。
【例】
・著作権・肖像権のある画像や動画は無断で使用しない
・個人情報や機密情報に該当する内容は投稿しない
・広告・PR投稿は、各国の関連法令やプラットフォームのルールに従って表記する
記録・ログ管理
投稿や対応の履歴をどのように記録・管理するかを、ルールとして定めておくことも重要です。
運用履歴を残しておけば、同様のトラブルや問い合わせが発生した際に対応しやすくなります。
【例】
・投稿内容・投稿日時・削除履歴を一定期間保存する
・クレームや問い合わせ対応は、内容ごとに分類して記録する
・問題発生時の判断経緯や対応内容を簡単にドキュメント化する
企業SNS運用ルールのチェックリスト【そのまま使える】
以下は、企業SNSの運用ルールに盛り込むべき内容をまとめたチェックリストです。
そのままでも使用可能ですが、自社の運用体制や社内ルールに合わせて、項目を追加・削除しながら活用することをおすすめします。
企業SNS運用ガイドラインのひな型(簡易テンプレート)
企業SNSの運用ガイドラインは、自社の方針や体制に合わせて作成する必要があります。
「何を書けばいいのか分からない」「文章を整える時間が取れない」といった場合には、ChatGPTなどのAIを利用して作成するのもおすすめ。
ただし、AIで作成できるのはあくまも「たたき台」です。
そのまま使うのではなく、自社の運用体制や社内ルールに合わせて調整しながら活用しましょう。
まとめ
ポイントまとめ
・企業SNSのルールは炎上や情報漏えいなどのリスクを減らすために欠かせないもの
・ルールを定めておくことで、トラブル時も迅速かつ冷静に対応できる
・投稿内容や権限だけでなく、法令や規約についてのルールも決めておくこと
企業SNSの運用ルールは、実際の業務の中で使われてこそ意味のあるものです。
判断に迷ったときに立ち返れる基準として活用すれば、担当者が安心して運用を続けられる環境を整えられます。
本記事で紹介したチェックリストやひな型をたたき台にし、自社の体制や運用状況に合わせて調整しながら活用してみてください。
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